ドイツワイン関連情報

1.Hessishe Staatesweingüter Kloster Eberbach ヘッセン州立クロスター・エバーバッハ醸造所

2018/05/07

Deutscher Wein
素晴らしいドイツのワイン
悠久に流れるライン川は、スイスと国境を接するボーデン湖を源流として、ドイツの大地を貫き北海に注いでいます。ドイツのワインは、このライン川とそれに注ぐ支流の地域で古くローマの時代よりブドウは栽培され、貴族や僧院と勤勉な農民により大切に育てられてきました。
ドイツワインの生産地域は、北緯50度に位置し世界のブドウ生産地域としては最北限にあたります。日本の北海道より遥かに北に位置する北ヨーロッパの西海岸は、大西洋を北上してくる暖かいメキシコ海流の影響で温暖な気候となっています。そして、柔らかい太陽の光を受けて育つブドウは、他のヨーロッパの生産地域に比べ成育期間が長くゆっくりと実ります。そのため、地中より吸い上げる養分は長期間におよび、ブドウの果実には繊細な酸味と上品な糖分が貯えられていきます。それに比例しミネラル分も多くなるため、ドイツワインは世界でも最もアルカリ性の高いワインといえます。また大量に含まれる天然の有機酸は、人体を形成する細胞を活性化させます。これは、健康を維持するために最も大切なことです。そして、良く冷やしたドイツワインは、食欲を一層増進させる素晴らしい健康飲料です。

Rheingau
銘醸の故郷 ラインガウ(Rheingau)地域
ドイツ銘醸ワインの故郷ラインガウ地域は、世界でも最高級の白ワインの産地として知られています。ブドウ栽培の歴史は古く、8世紀にカール大帝がライン川に面するインゲルハイムの居城から、雪解けが早い対岸の丘陵に、ブドウの栽培を命じたことからワイン造りが始められたと言われています。
ラインガウ地域には、背後に北風をさえぎるタウヌス丘陵が連なっており、北上するライン川は丘陵に阻まれて西向きに流れを変えます。そのため、ライン川に面した南向きに広がる大斜面は、太陽の光を全面に受けることができます。その上、ライン川は川幅が1000mにも広がっているため、川面からのまぶしい反射光も受け止めてブドウは実ります。また、太陽が沈んだ後の北国の宵は、緩やかに流れるライン川の昼間に暖められた川面より、気流となって斜面を覆い、栽培されるブドウに暖かい衣を着せてくれます。
このように、北緯50度の最北限の生産地にかかわらず、気候条件に恵まれた、風光明媚なラインガウ地域では、中世期のころより修道院や僧院が中心となってブドウ栽培を行ってきました。また、貴族もこぞって城館を建て、周辺の山をひらき、ブドウ植え、銘醸ワインを育ててきました。そして現在、世界に類のない酸味と甘味の奏でる素晴らしいハーモニーは、果実味情緒豊かな世界に知られる最高級のワインを造りだしています。

Kloster Eberbach
800年の歴史を秘めたエバーバッハ修道院
1136年ブルゴーニュの修道院クロ・ド・ヴージョの大司教クララヴォーは、ライン川畔に修道院の建設用地を求めて旅をしていました。すると今のハッテンハイム村に差し掛かった時、どこからともなく一頭の猪が現れました。その猪は、クララヴォーを小川の上流に導き「此の地こそ聖堂を建立すべき所なり」と教えるように、小川を飛び越えて森の中に消えて行きました。クララヴォーはこの地こそ修道院の理想的な建設地であると喜び、エバーバッハ(Eberbach:猪の小川)と名付けました。
今も修道院の紋章には、教会を背負い小川を渡る猪がえがかれています。猪が口にくわえた一房のブドウはキリストと富と文化を表しています。現在この修道院はヘッセン州立ワイン醸造管理所が所有しており、ゴシックとロマネスクの混ざった歴史的にも貴重な建造物として有名です。

「壁ワイン」(Steinberger Mauer wien:シュタインベルガー マウアーワイン)
ラインガウ地域は、ドイツワイン生産地の中でも最高級のワインを産出する銘醸ワインの故郷として知られています。ライン川を見下ろすタウナス丘陵の南側は、風光明媚で温暖な地として昔から多くの貴族が城館を構え、ブドウ栽培を行ってきました。特に、エバーバッハ修道院が所有するシュタインベルガー(Steinberger)は、ドイツワインを代表する最高級のワインとして世界に知られています。このシュタインベルガーのブドウ園はハッテンハイム村の丘にあり、古くからシトー派の修道僧により大切に育てられてきました。この33hlのブドウ園では高級品種リースリング(Riesling)が栽培され、クロ(clo)と呼ばれる石塀に囲まれています。
そのシュタインベルガーの畑の中でも上質なブドウから造られるワインが「マウアーワイン(Mauer-Wein):壁ワイン」です。これは、畑を取り囲む石塀の南側の壁に沿って植えられたわずかなブドウから造られる、特別に醸造したワインのことです。南向斜面の石塀に沿ったブドウはライン川の反射光と石垣の反射熱により平地のブドウより高度の熟成をすることが出来ます。
この貴重な高級ワインは一般には販売されず、銘醸ワインの競売会に出品され、競売会で落札された業者より購入することができます。競売会にはそれぞれ銘醸ワインの特別の高級ワインが出品されて競売にかけられます。そして落札されたワインには修道院のスタンプが捺印されています。

皮の香りと鉄の味
クロスター・エバーバッハ修道院はシトー派の修行僧の僧院として、また多くの貧しい人々の施療院としてその財政を支えるためにもワイン造りは大切な事業でした。
そのころの話です。ワインを管理していた二人の僧が、新しく出来た新酒の樽よりワインの出来具合いの試飲を行っていました。一人の僧が「このワインは大変良くできているが後口に鉄の味がする」と言いだしました。別の僧は「いや、鉄の味より皮の匂いがする」と反論します。二人は、「鉄の味が残る」「いやいや皮の匂いだ」と飲み続け、ついには樽のワインを飲み干してしまいました。すると樽の底から革紐に結ばれた鉄の鍵が現れたのです。なんとこの二人の僧は樽の底にあった革紐と鉄の鍵の味と香りを利く素晴らしい感覚を持ち、その上、飲みも飲んだりワインの樽を空にしてしまうほどの酒豪だったのです。この話は今でも語り継がれています。

19世紀初め修道院還俗政策により、エバーバッハ修道院も還俗され、一時ナソウ侯爵の所有となっていました。あるとき、地下に閉ざされた部屋があるのに気づき、扉を開くといくつものワインの樽がありました。それらの樽の中には修道院のころより大切に保管されていた素晴らしいワインがありました。侯爵は『カビネットワイン(Cabinetwein):個室のワイン』と呼んで大切に保管し、毎年収穫される優れたワインをカビネットワインに加えていきました。時に1811年『彗星ワイン』と知られる偉大な年の 1811er Steinberg Riesling Cabinett Auslese が発表されると、他の貴族も特選ワインに『Cabinet』を付すようになり『Cabinet』は高級特選ワインの用語として使用されるようになりました。そして、1971年ドイツ新ワイン法により肩書き付高級ワインの『カビネット(Kabinett)』として正式な格付けとなったのです。